ファーストブラザーズ|セイムボート:死なば諸共

昔ホールドしていた銘柄を見直してみるシリーズ。今回は「ファーストブラザーズ(3454)」を振り返ります。とにかく何も考えず、名前だけをみて脊髄反射で買った銘柄。株価は上がらず「ファーストブラジャーズ」などと悪態をついていたこともあり、ただただ損だけしました。

決算説明の中に「セイムボート」という言葉がでてきたのですが、これはファンドの運用者やスポンサーが一般の投資者と同じファンドに出資する金融手法とのこと。業績はさほど悪くないものの、なぜか株価はあまり上がらず、ファーストブラザーズホルダーだけが沈没しました。

ファーストブラザーズのビジネスモデル

ファーストブラザーズは、不動産投資を中心にしたビジネスモデルを展開。主に「不動産投資事業」と「不動産運用事業」の2つを柱としています。

1つ目の不動産投資事業では、不動産を購入し、その価値を高めた上で売却する「バリューアップ投資」を行っています。具体的には、オフィスビルや商業施設、住宅などの物件を対象に、リノベーションやテナント誘致を通じて物件の収益性を向上させ、投資家や企業に売却し利益を得ます。

2つ目の不動産運用事業は、購入した不動産を活用した賃貸収入、不動産ファンドの運営。不動産を組み込んだ金融商品を作り、それを投資家に提供することで管理報酬を得る仕組みもあります。

要するに不動産投資会社ですが、名前だけをみて買った企業なので、これが儲かるのか儲からないのかはサッパリわかりません。ということでこのビジネスモデルが儲かっているのかをみてみましょう。

ファーストブラザーズの業績

年度 売上高(億円) 営業利益(億円) 純利益(億円)
2015 78.5 8.5 5.8
2016 87.9 9.6 6.3
2017 95.3 10.2 6.9
2018 102.0 11.0 7.3
2019 110.5 11.8 7.8
2020 121.0 12.5 8.2
2021 128.9 14.5 9.5
2022 142.8 18.2 11.8
2023 222.7 44.6 31.9
2024 168.7 28.4 14.2

クソ株というイメージでしたが、過去10年の業績を見ると順調に売上を伸ばしていました。売上は上場からピークの2023年までで3倍。営業利益、純利益にかんしては5倍近くにまで増やしています。この期間は不動産市場も活発で価格も上昇していたため、上手に乗ることができていたのではないでしょうか。

また2023年に大きく売上を伸ばしています。これは投資銀行事業での大型物件売却が主要因であり、それに加えて賃貸収益の着実な成長、施設運営事業の黒字化が寄与したとのこと。

一方で株価の方はサッパリ。下限が600円、上限が1,600円ですが、基本的には1,000円付近をウロウロしています。ベストタイミングで変えたとしても2.5倍ですし、上場時からホールドし続けていた場合プラスマイナスゼロでしかありません。2023年に最高益をあげたときも、株価は上げたものの上げ幅は低く、しかもほぼ元の位置に戻っています。

配当に関しては徐々に増配しており好感できますが、これもさほど評価されている感じではありません。配当利回りが2%ちょっとという低さが原因でしょうか。

ちなにみ株主優待が知らない間にできていたのですが、もらえる最低保有量が3,000株とハードルは高め。優待目当てでファーストブラザーズを買う人はあまりいないように思えます。

不動産投資事業ということで、業績が読みにくいというのが理由にあるのかもしれませんが、それをいうと不動産業界全体に当てはまってしまいます。業績だけを見ると悪くないように思えるのですが、PERが10倍なので不動産業界ならばそんなものなのかもしれません。

今後の展望

決算資料を見る限り、今後もビジネスモデルに変化はないようです。いかんせんファーストブラザーズの企業努力うんぬんではなく、不動産市況に影響されることなので、来期も安泰なのかどうかはわかりません。

まとめ

適当に買って、茶化してたら損してブン投げたという真のバリュー投資家としては最高の銘柄でした。売ってから一切触れていなかったのですが、株価の推移をみる限りはそれが正解だったようです。

セイムボートで投資家と一蓮托生と書かれていましたが、この投資家は不動産投資に出資している人であり、ファーストブラザーズホルダーでは無かったようです。企業的には悪くないと思いますが、株としては微妙なところ。

それにしても「ブラザーズ」というネーミングはカッコイいですね。私もいつか起業した暁には「キルヒブラザーズ」にしようと思いますので、弟になりたい方はいつでも応募ください。ちなみに私の座右の銘は「兄より優れた弟など存在しねえ」です。

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