かつてホールドしていた銘柄を、改めて見直すシリーズ。今回は、「PEGASUS(6262)」を振り返ります。私が購入した当時は、「ペガザスミシン製造」という「ミシン作っています」全開な社名でした。どうやら2023年に現在の「PEGASUS」に社名変更したとのこと。「PEGASUS(ペガザス)」の社名は、おそらく創業者の姓が「美馬」からきてると思われます。
ちょうど2006年前後にバリュー投資を始めて、収益バリューがいいんじゃないかと買ったのがこちらのPEGASUSです。特殊な縫い方ができるミシン製造ではトップシェアという点もあり、保有していたと記憶しています。リーマンショックでブン投げてから長らく記憶から消えていましたが、上場後、19年ほどたちあのPEGASUSはどうなっているのか?そんな訳で、PEGASUSの推移と今後の展望などを確認してみます。
PEGASUSのビジネスモデル

同社の主力事業は、工業用ミシンの製造・販売をしており、特に「環縫いミシン」では世界トップレベル。環縫いミシンは、伸縮性のある縫い目を作ることができ、ニット衣料などの縫製に適しています。そのため、ジーンズなどのアパレル製品の製造に広く利用されています。主に中国、ベトナム、バングラデシュ、インドなどのアジア諸国に展開。
またこれまでのミシン製造技術を生かし、自動車用部品の製造も行っています。特に自動車用安全ベルトのリトラクター(巻き取り装置)部品やエンジンルーム関連部品など、技術力が求められる部品を製造しています。
2023年度の売上比率は、工業用ミシン事業 75%:自動車部品事業 25%。しかし2024年度は、ミシン事業の低迷により 55%:45% へと変化しています。
PEGASUSの業績

年度 | (億円)売上 | 経常利益 | 純利益 |
---|---|---|---|
2015 | 162.0 | 21.9 | 23.3 |
2016 | 191.9 | 23.9 | 21.6 |
2017 | 189.6 | 28.3 | 21.0 |
2018 | 169.8 | 20.3 | 12.7 |
2019 | 188.9 | 25.4 | 20.8 |
2020 | 149.7 | 4.8 | -20.6 |
2021 | 124.2 | 6.8 | 7.1 |
2022 | 205.0 | 19.4 | 15.7 |
2023 | 252.9 | 29.5 | 22.9 |
2024 | 175.4 | 5.1 | -7.3 |
PEGASUSの上場は2006年ですが、EDINETに2015年以前の有価証券報告書がありませんでした。そのため10年分の業績まてしか遡ることができません。
売上をみると、かなりバラつきがあります。おそらくアパレルの市況やトレンドにかなり影響を受けるビジネスのようです。2020年、2021年に落ち込んでいるのは、コロナ禍で外出が控えられたため、アパレル全体が冷え込んていたことが理由でしょう。その反動か、2022年、2023年は売上を大きく増やすものの、またその反動で2024年は大きく落ち込んでいます。PEGASUSの業績は、アパレル市場の設備投資動向や、縫製工場の生産拠点の移転などの影響を強く受けています。特に、新興国メーカーの台頭やアパレル市場の変動に左右されやすいため、業績の予測は難しいといえます。
環縫いミシンではトップシェアですが、中国やベトナム製の競合品が現れつつあるということで、環縫いミシンにおいては、今後も厳しい展開が続くことが予想されます。
自動車部品事業は、工業用ミシン事業よりもやや安定感があります。ただ、自動車産業も市況の影響を受けやすいため、こちらも予想しづらいのではないでしょうか。
財務に関しては自己資本比率70%近くあり、製造業としては健全な財務内容。それなりに借入金もありますが、流動比率は300%を超えており、特に問題はないと思われます。
PEGASUSの株価

株価は、2006年上場時の高値が約1500円。2008年のリーマンショックで133円というジェットコースターぷり。私は800円ぐらいで持っていましたが、もちろんギブアップしました。
その後アベノミクス以降は激しいボラを繰り返しながら上昇していますが、コロナショックで墜落。2023年度に最高益で株価は上げるものの、2024年度の業績悪化を受け、株価は2023年のピークから約50%下落しています。上場後から1/10になり、底値からアベノミクス後の高値まで9倍という壮絶な株価。業績にばらつきもあり、幾度もとんがりコーンを形成しており、長期で保有するには厳しい値動きでしょう。ただ、このボラを捕まえることができれば、中短期で資産を増やすことができるかもしれません。私には無理ですが。
では、インカムゲインという視点からみるとどうでしょうか。下記が2015年度からの配当
年度 | 1株当たり配当金(円) | 配当性向(%) |
---|---|---|
2015 | 12 | 11.8 |
2016 | 17 | 19.5 |
2017 | 20 | 23.6 |
2018 | 22 | 43.0 |
2019 | 24 | 28.6 |
2020 | 20 | – |
2021 | 7 | 24.6 |
2022 | 20 | 31.6 |
2023 | 27 | 29.2 |
2024 | 5 | – |
2025(予想) | 13 | – |
近年は、配当性向30%を目指しているということで、おおむねそれに近い数字となっています。ただ、純利益がイマイチ安定していないこともあり、配当額もバラバラ。ただ赤字の年でも、頑張って配当を出しています。それがいいのか分かりませんが。正直なところ、利回り的に高配当というほどでもないので、インカムゲイン期待でじっくり持つのも微妙なところでしょう。
今後の展望

基本的に工業用ミシンと自動車部品事業を2本柱としていくようです。自動車部品事業は、工業用ミシン事業よりも比較的安定しているので、こちらの売上比率を増やしながら全体的にボラを抑えていけるといいかもしれません。とはいえ、ブレイクスルーネタはなさそうなので、今後も似たような感じではないでしょうか。
まとめ

昔かなりいれこんでいた銘柄ですが、あらためて振り返ってみると、業績のバラつきが思っていたよりもあると感じたところです。ニッチな業界でトップシェアといっても、アパレルという巨大市場においては、どうにもならない部分もあるようです。
改めて買いたいと思うことはありませんが、初心に戻って社名を「美馬ミシン製造」に変えたら買うかもしれません。
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