昔ホールドしていた銘柄を見直してみるシリーズ。今回は「デルソーレ(2876)」を振り返ります。
一時期「デルソーレ」に惚れ込んで、後生大事に抱え込んでいた時期がありました。バリュートラップでほとんど儲かりませんでしたが、今でもスーパーでデルソーレの製品を見かけると手にしてしまいます。保有していた時期に何度か購入したことがあるのですが、個人的には日本ハムのピザより好みの味でした。ただ日本ハムのピザの方がパッケージが派手な上に安いので、デルソーレはスーパーでも片隅に置かれているケースが多いようです。
ちなみに私が保有していた頃は「JCコムサ」という社名でしたが、気が付いたらデルソーレという謎の社名になっていました。JCコムサもデルソーレも社名の意味は全くわかりませんが。
デルソーレのビジネスモデル
主にピザやナンを製造する「食品部門」と複数の外食チェーンを展開する「外食部門」に分かれています。私が購入した頃は食品部門6：外食部門4ぐらいの割合と記憶しているのですが、最新の売り上げ比率を見てみると8.3：1.7まで変わっており、業態としては食品事業に軸足をおいているようです。
創業は、現会長の大河原愛子氏の父、比嘉悦雄氏が「ジェーシー・フーズ」を立ち上げ、冷凍ピザの輸入事業をスタートさせたのが始まり。他にも「ヒガ・インダストリーズ」という会社も立ち上げ、ドミノピザのフランチャイズ権を獲得し、全国に展開していました。現在のヒガ・インダストリーズはドミノピザと関係はありませんが、会長に大河原愛子の弟であるアーネスト・エム・比嘉氏が会長兼社長に就いています。アーネスト・エム・比嘉氏はJCコムサ時代に役員にも就いており、ピザを通じて兄弟間につながりがあったようです。
スーパーのピザコーナーをみると、おおむね日本ハムのピザが大半を占めています。パッケージデザインや価格において日本ハムに立ち向かうのは厳し印象。ただデルソールのピザの主戦場は業務用らしく、こちらでは一定の勢力を保っているのかもしれません。しかし有価証券報告書をみても一般向けと業務向けのピザの比率記載はなく、詳細は不明。デルソーレが競合他社に対してどのような強みがあるのかわかりませんが、業務用において品質の高さで一定の評価がされているのかもしれません。
デルソーレの業績
| 年度（3月期） | 売上高（億円） | 営業利益（億円） | 当期純利益（億円） |
|---|---|---|---|
| 2010年 | 171.8 | 9.5 | 3.9 |
| 2011年 | 165.4 | 6.2 | 2.4 |
| 2012年 | 160.0 | 7.9 | 1.8 |
| 2013年 | 163.9 | 8.2 | 1.8 |
| 2014年 | 169.9 | 8.1 | 4.0 |
| 2015年 | 170.1 | 6.6 | 1.9 |
| 2016年 | 167.0 | 7.5 | 3.0 |
| 2017年 | 164.3 | 9.6 | 3.7 |
| 2018年 | 168.9 | 6.6 | 2.5 |
| 2019年 | 175.6 | 7.8 | 5.0 |
| 2020年 | 178.2 | 9.2 | 5.1 |
| 2021年 | 166.3 | 5.0 | 2.5 |
| 2022年 | 154.6 | 5.4 | 6.4 |
| 2023年 | 168.9 | 4.2 | 3.0 |
| 2024年 | 177.9 | 12.2 | 6.0 |
売上に関しては、凸凹があるものの過去15年間ほぼ横ばいと言っていいでしょう。営業利益、純利益に関しても同じ傾向にあるようです。新商品の開発は行われているようですが、大ヒット商品などがあったわけでもないので、現状維持が続いているようです。
今後の展望
JCコムサ時代は、ホームページもホームページビルダーで作ったんじゃないかというぐらいヤル気のないページでした。現在は、新しいホームページになり、SNSまで運用。少しやる気が出てきたようです。
株主還元では、配当利回りは低く株主優待もありません。個人投資家に対してあまり関心を払っていない印象。昔は「こういう誰も見向きもしない割安な銘柄を買うことがバリュー投資だ！」と息巻いていたので購入しましたが、完全なバリュートラップでした。一瞬謎の買いが入ることがあっても、継続的に買われ続けるということはありません。ちなみにいまだに株主優待はなく、この辺は漢気を感じます。
現会長の大河原愛子氏は日本のピザ普及に多大な貢献をされた方。スーパーの冷蔵コーナーにピザが置かれるきっかけを作ったのも大河原愛子氏のアイディアだったとのこと。現在、ピザ協議会で名誉会長に就いており、ピザ業界ではかなりの重鎮のようです。
個人的には現経営陣は創業一族ですが、比較的高齢となっています。現状単独で事業拡大が難しいとなると、大手企業への譲渡や、逆に競合からのTOBも考えられます。そうなれば投資家的にはチャンスがあるかもしれません。
そんな訳で、ピザのことを調べていると無性にピザが食べたくなったので、久しぶりにデルソーレのピザを買いに行ってみようと思います。
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